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実生見聞録より(種子銀行の会誌)用土についてⅣ

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用土についてⅠ 用土についてⅡ 用土についてⅢ 用土についてⅣ

基礎編(用土についてⅣ)

種子銀行の会誌の記事をご好意でお借りしたものです。用土と水やりについてとても詳しく書かれています。山野草栽培のお役に立つことが出来ると思います。

5.用土の通気性・保水性・排水性

これらの3点は、鉢植えの場合は特に重要な問題です。

3点は互いに関連があるのでまとめて考えましょう。高原・高山系の植物は強い光線・強い風などに対応するため、根からの呼吸が激しく行われます。この性質は実生して得た個体にも引き継がれているので、遺伝されるものと考えられます。(別の機会に項を改めて追求します)

根から呼吸するために、用土内に十分な空気が無いと呼吸が出来ません。特に鉢での栽培では限られた空間なので管理が重要です。呼吸が出来ないと、用土から水分の吸収も不十分になります。

一方、葉からの蒸散は根の状態と関係なく行われるため、生長中の若い組織から萎れることになります。空気が不十分で根が呼吸できなくなると、根の先端の生長が停止し、夏の高温時ではこれが原因で間もなく死んでしまいます。一般にはこの事を「根腐れ病」にされがちですが、これは病気によって根腐れを起こしたのではなく、窒息状で活動不能になって枯れ死するという、生理的障害なのです。殺菌剤では阻止できません。このような、生理的根腐れを起こさせないために、どうしたら用土に充分な空気を供給することが出来るか、この点を重点に吟味しましょう。

6.空気のための隙間と水のための隙間

鉢の内部に水分が停滞すると、用土から空気が追い出されて通気性が悪くなり、速やかに排水されると、用土の隙間に再び空気が入ってくるので、通気性が甦ります。このように通気性は用土の粒子間の隙間の構造が関係します。

用土の粒子と粒子との隙間に非毛管孔隙と毛管孔隙とがあることは先に述べました。毛管孔隙というのは、水分があるかぎり水分で占められる水分専用の空隙で、非毛管孔隙が空気用の隙間です。

表2は粒子の大きさと非毛管孔隙と毛管孔隙の関係を示したものです。実際には粒子が丸味を帯びているか、角張っているか、また粒子の内部構造が緻密であるか、多孔質であるかなどに依って変わって来るものですが、ここでは複雑に考えないで、簡単に模型的に示したものです。

表2 ○ 用土の粒子とその隙間の関係

次の図は用土の粒子が細かくなると空気用の隙間(非毛管孔隙)が少なくなり、粒子が大きくなると空気用の隙間が多くなることを表しています。

空気用隙間と水用隙間。用土の粒子が大きくなると、空気用隙間が多くなる。

鉢内の空気用と水分用の比率を表2の右の表に示してありますが、実際問題として、あまり実感が伴いません。 乾いたら植物の顔を見ながら潅水出来る場合は、右端の図で調子が良いとしても、仕事の関係で潅水がままならない人では、粗すぎる用土では水切れで枯らしてしまいます。この様に、それぞれの栽培環境が異なるので、一概に「理想的な用土は・・」と定めることは困難です。

通気性・排水性・保水性の基本的な考え方を、いかに応用するかが実際編に掛かっています。

7.水分は用土からどのように放出されるか

根から吸収される水分は、用土の中に毛管水の形で含まれた水分であること、そしてこの毛管水の量は、用土固有の性質できまるものです。たっぷり潅水したとしても、余分の水は重力水として排除されてしまう、と言うことはすでに述べたとうりです。

根が利用できる毛管水を増やす目的で有機質(水苔、ピートモス、腐葉土など)を加える事がありますが、この量が過ぎると、今度は空気のための隙間が無くなり、過湿の用土となってしまいます。過剰な水分を排除する目的で、鉢底に粗い粒子の石や鉢のかけら(ごろ)などを敷く事が行われますが、これは重力水の排出を容易にするだけで、鉢内の粒子の組成によって決まる毛管水の調節まですることは不可能です。

さて、たっぷり潅水されて毛管水で飽和した鉢が、時間と共にどのように水分を失って行くかを見てみましょう。これは鉢の材料、置き場、日照条件、植物の活動状況、その他の条件で違うことは勿論ですが、素焼きの鉢の場合、植物が根から吸収して葉から放出する水分の割合は、鉢の中の水分の30~40%程度と言われます。(下の図の左の鉢を参照)残りの水分は鉢の用土の表面から10~20%、鉢の側面から50%が失われます。このように素焼き鉢の場合、鉢の側面から失われる水分は意外に多いのです。鉢の側面に直射日光が当たる場合や、風の強いときなどは一層多くなり、70%以上になることもあります。この場合鉢の置き場を工夫して鉢を互いに密接して並べ、日光を遮るなどで50%位に押さえる事が出来ます。

但し、この50%の水分は全く無駄に失われたかと言うと、そうではなく、夏の日など蒸発の潜熱を鉢から奪うことに依って、鉢の温度上昇を防ぐ役目を果たします。気化熱によって鉢内部の温度を低下させる上級技術もあります。

鉢内部の水分の半分以上が蒸散によって失われるので、その分だけ余分の水分を保有出来る用土組成にしなければなりません。そのための幾つかの方法が考えられます。

  1. 用土に細かい粒子を使っては・・・・これは通気のための隙間が少なくなり、また長雨では過 湿になるので好ましい方法ではありません。
  2. 水苔やピートモスなど、保水性がありかつ通気性にも優れた素材を混合しては・・・・これに よって鉢内の保水力を高める事が出来ます。しかし、これも関東以西の夏の暑さの厳しい所では 有機物の混入比率を20%以上にすると腐敗する心配もあり、長雨では過湿の原因になります。
  3. 浅間砂、富士砂、蝦夷砂、軽石、鹿沼土などの多孔質の用土を主体にすること・・・・夏の暑い地方の栽培には好都合です。粒子内部に空気や水分を取り込めるので、急激な乾燥を防げます。

8・ 鉢内部の水分の残り方

次に、以上のようにして鉢内部の水分が失われていった結果、鉢内の用土中の水分の分布はどうなるかを示したのが前ページの右図です。図に見られるように、鉢の表面から側面沿いの部分の水分が順次少なくなり、鉢底部分の水分が最後まで残ります。

もし、この鉢底部分が粗い粒子だけであったとしたら、どうなるでしょうか。隙間が大きいので通気性が良いとしても、毛管孔隙が少ないので保水力の乏しい層になっています。従って、早く水切れを起こす用土の構造と言えます。

この様な理由からも、鉢底に粗い粒子を使うのは、重力水が鉢底から排出されるのを最小限に止め、いわゆるゴロ土の層を作ることは、あまり効果が認められません。

深鉢を使う、二重鉢にする、砂床に鉢を埋める等々、これが工夫です。最近はプラ鉢が多く使われているのは簡便性ばかりでなく、鉢側面からの蒸散が押さえられる効果があるので、上手に使いこなせば便利なものです。特に冬季の凍結で鉢が割れる悩みを持つ寒冷地では大助かりです。

山野草栽培の基本と注意点

上の栽培法は、関東地方の狭い住宅地で夜間もエアコンの熱風が出ているような場所で栽培している、わが家を基準にしています。

高山植物や、山野草を育てるにはかなり過酷な場所で、工夫しながら育てています。

猛暑日が増えてきてからは厳しくなった面もありますが、植物が私たちの愛情にこたえてくれるように慣れてきているものも多くなっています。

鉢植えの場合、すべてに書くことが出来ませんでしたが、鉢底には軽石などのゴロ石を入れて水はけを良くしていますし、植物によっては溶岩の砕いたものを入れています。

鉢は山野草鉢のように水はけのよいものを用いています。

病気になりやすいものもあるので、用土は新しいものを使い、微塵を抜いて、湿らせてから使った方が良いとは思っています。

私は宮城県の住宅地でも高山植物を育てたことがありますが、それほど気を遣わなくても、此処ではそだたないものも殖えすぎるくらいに育っていましたので、もっと楽に育てられるところの方が多いと思っています。


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